千秋楽を振り返って

 ストーリーを簡単に書くと、事故死した父親の主催する劇団を引き継いだ娘のあゆみ。あゆみには父からいなくなった後にも思うがままに劇団を支配できるよう暗示がかけられている。それが携帯の着メロで、暗示にかかり、邪魔者を排除する。
 このあゆみの異変に気づいた劇団員のめぐみが他の劇団員と協力して、この暗示を解くためにわざと対立して、Girls Nightという劇団を代表する公演を使って、暗示を振り払うというもの。これにあつことあゆみが異母姉妹という設定とあゆみにかけられた暗示を利用している者がいるということもあり、劇中劇も三銃士の話で、ここも姉妹の対立がメインなので、出演者は少数ながら込み入った人間関係も含まれていて、複雑な舞台でした。(書いたけど伝わるかな)


 この中で対立軸を形成するのが、めぐみ&ひとみVSあゆみ&まさえ。あゆみのやることに反発して、怒りを買うように仕向けるめぐみとあゆみの味方として、めぐみと対立するまさえの組み合わせがこの舞台を動かしていました。


 今回の舞台で特筆すべきは、村田さんの演技。他の3人は普段のキャラクターに近い役柄なのですが、村田さんだけは、全く違う。凛々しい剣士を演じる役者であゆみをもとに戻すために徹底的に嫌われる敵役を演じる。その敵役も実はあゆみを元に戻すための演技というちょっと難しい役柄。メルヘン担当で独特の村田ワールドを繰り広げるメロン記念日村田めぐみとは正反対。それをしっかり演じている上に殺陣もしっかりこなしている。惚れ惚れするくらい格好いい。短期間にここまで出来るとは思っていませんでした。不安に思っていた歌もしっかり歌えていて、オンステージ終わってから2週間で仕上げたとは思えませんでした。ハロプロ勢の中では、数少ない長い手足という舞台向きの体型をしていることもあったとは思いますが、舞台栄えして、ただ面白いだけの存在ではないことを証明できて、今回のミュージカルは、ニュー村田を見せることができ、収穫だったと感じています。


 大谷さんは、村田さんと反対にあゆみを徹底的に支持する役。やっと三銃士の役が貰えた格下の役者が生真面目に劇団を守るために必死になるというまさえを大谷さんらしく演じていけたのではないかな。ちょっと大げさかなとも感じたのですが、めぐみと示し合わせた演技であるということで、オーバーな反発にも意味が込められていた。剣士役ははまり役ですね。歌の面ではメロンで一番上手いので、安心して聞けました。


 斉藤さんは、劇中劇で演じたマゼンダがはまりすぎ。普段のエロ面白いという斉藤さんのキャラを封印して、妖艶な悪女を演じきっていました。三銃士では、メロンのメンバーで1人だけ、悪い側で、周りがベテラン舞台女優になってしまったので、歌と演技がどうかなと思っていましたが、歌は普段のメロンと違うミュージカルらしい歌い方が出来ていたし、演技も良かったです。失礼な言い方かもしれませんが、ここまで歌えるとは思いませんでした。歌の面で不利だと思って見に行った斉藤さんと村田さんが意外とミュージカルらしく歌えていたのが印象的でした。


 柴田さんは、一番素の柴田あゆみに近い役。あゆみも劇中に演じる姫も、純粋で真っ直ぐに物事を見つめる素直な女の子。昨年から感じていることなのですが、歌がすごく上手くなった。歌う場面が多いのですが感情のこもったいい歌が歌えていました。劇中劇で出てくる女役は斉藤さんと柴田さんだけ。普通の女の子は柴田さんだけで、大谷さん、村田さんの剣士に挟まれると、両隣が凛々しい剣士なので、余計にかわいく見えました。


 これまで脇役ばかりだったのに、今回は主演。脇でしっかり勤めて実力を評価されたから回ってきたチャンスだと思う。それをメロンの4人はしっかり生かせたと感じています。初主演のプレッシャーの中しっかり歌い、踊り、演技するという基本は出来ていた。今回の舞台は期待以上。よくここまで出来たと褒めてあげたい。


 客席のメロンヲタもマナーを守って、いい客席を作れたと思う。途中でショーパブのシーンでさあ恋と涙の太陽を歌うところだけは座ったままなら盛り上っていい。ショーパブなんだから手拍子や声援があっても不思議ではない。ラストのチャンスオブラブの時は締めなのだから合いの手を入れずに静かに聞く。それにお祭りとなった千秋楽以外は、終演するとすぐに会場を後にして、お決まりの○○最高はやらなかった。


 千秋楽のカーテンコールのThis is 運命でスタンディングオベーションの激しいのになりましたが、これも許された範囲。声援で何度も下りた幕を上げさせ、客電ついて、追い出しの放送がかかった後にも幕が上がり客席の声援に応えてくれました。ミュージカル主催者、スタッフ、客席、ステージに一体感みたいな感じもありました。


 今回のミュージカルはUFA主催ではないので、甘えが許されない。そんな緊張感の中、主演を努めたことは次につながっていくと思います。起用なだけではなく、メロン記念日は、4人ともいい舞台を作り上げることが出来ることを証明した。今回の経験を生かして、また舞台で生き生きとした演技を見せるメロン記念日に会いたし、今よりももっと成長したメロン記念日に会えるような気がする。活動の幅を広げたメロン記念日の活躍に期待して、必死に応援続けます。